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染織基礎知識「高機の道具、付属品」

織機の種類

ろくろ式織機

日本に多い織機です。日本人が長年着てきた着尺を織るのに適するゆえに、ろくろ式織機が多数を占めるようになったと考えます。
開口が悪くなる為に、綜絖8枚踏み木8本が限度です。

天秤式織機

海外に多く、特に北欧はほとんど天秤式織機です。綜絖枚数、踏み木本数を増やせる型もあります。(ちなみに、24枚綜絖、24本踏み木を使った経験はあります。) 改良型が多いですが、綜絖枚数が増えると踏み木が重くなります。
多様な組織を織ることに向いています。

竪機(たてばた)

経糸を立てて張り、下から織っていきます。ペルシャ絨毯の制作などにみられる型です。敷物、タピストリーなどを織ります。

卓上機

ヘドル(Heddles)=板状の綜絖の織機、レバー式の織機など、メーカーにより多数あります。大きな利点は、場所をとらないことです。高機よりも経糸の張りが弱くなるために、堅い布は織りにくいです。

高機の部品の呼び方

図の高機は、クマクラ織機のX60型を書き写したものです。 高機の形は違いますが、呼び方や役割は同じです。なお、天秤式高機は省略いたします。

高機 高機

織機周辺の道具

筬(おさ)

薄い羽(は)を等間隔に並列させて編んだ板状のもの。並んだ隙間を羽、または目といいます。そこに糸を通して織幅を整えます。
筬が打ち込み具の役割を持つ織機、打ち込み具が別にあり、筬は幅を安定させる道具とする織機などがあります。
現在は、cm間筬が主流です。他に鯨尺間筬、インチ間筬があります。
単位は、「羽(は)」。1cm間に5目(羽)あれば「5羽」。1寸間に10目あれば「10羽」と呼びます。
1目に糸を1本通すことを「片羽」。
1目に糸を2本通すことを「丸羽」「諸羽(もろは)」。
1目に糸を3本以上通すことを「混みさし」「混羽(こみは)」。
目を空けることを「空羽(あきは、からは)」。
2015年現在、ステンレス製筬のみの製造です。竹製はほとんど作られていません。

筬柄(おさづか)

筬をはめて安定させる織機の一部の名称。筬をはめる部分を筬框(おさかまち)といいます。筬柄自体を筬框ということもあります。
上框、下框の二種あり、上框の筬柄は吊り棒に框が吊られています。下框は織機の下部にボルトで据えられています。
高機の多くは筬を筬柄にはめて打ち込み具にします。筬と打ち込み具が別の織機は、筬柄がない場合もあります(いざり機など)。

綜絖(そうこう)

綜絖枠の上下ロット棒に通した綜絖糸(そうこうし)、あるいはワイヤーヘルド(Wire Heald)のことをいい、その中央の穴=綜目(あやめ)に糸を通すことを綜絖通しといいます。
高機の綜絖は通常は4枚からです。前から綜絖通しをする場合は手前から1ー2ー3ー4と数えますが、高機の後ろから通す場合もあり、逆に数えることもあります。どちらにせよ、1ー2ー3ー4と順番に糸を通すことを「順通し」といいます。
綜絖の通し方は組織によって変わります

ワイヤーヘルドのサイズは綜絖枠のロット棒間の高さで違いますが、現在は25cmと26cmが主になっています。また、糸の太さや細さ、形状によってワイヤーヘルドの綜目の大きさを替えます。ウール糸、太めの綿糸は27番が主流で、細い絹は30番、32番になります。これらはワイヤー自体が細く、綜目も小さいです。経糸を混ませ気味にする時に、ワイヤーヘルドが接触して経糸に支障がないようにするために、こうしたサイズの違いがあります。

踏木(ふみき)

高機の下部にある細長く立方状の棒を踏木といいます。6個から8個の穴が空いています この穴にイタリアンコードを結び、綜絖枠と連結させます。踏木を踏むと経糸が開口します。
組織によって綜絖枠との連結を替えることもあります。

千巻(ちまき)

整経(せいけい)、粗筬(あらおさ)をした経糸をしっかり巻く箱を千巻箱といい、巻く作業のことを千巻といいます。
織る時は「菊」という歯車と「菊おさえ」というストッパーで千巻箱を固定します。織り進むにしたがい、菊の動かして経糸を送り出して行きます。
他の名称に、「千切り」「男巻」ということもあります。

男巻(おまき)

織り付け布を挟み込んで、ロット棒、または布に直接経糸を結び付けて、均一の張りに固定します。その上で、織った布を少しずつ巻き取っていく筒状の棒です。
男巻の片側にストッパーとギアがついているものと、締め皮と玄棒(げんぼう)で経糸の張りを調節するものがあります。
他の名称に、「布巻き」「緒巻」「千巻」があります。

イタリアンコード

綜絖枠や踏木を吊る紐です。ポリエチレン製の紐状のものは、多くの場合「いかり結び」という結び方をします。縛って留めるのではなく、撚りを開いて、先端を差し込んで留めます。 太さは織機の種類によりまちまちです。
また、平ら状で留め具を差し込むものもあります。こちらの方は結ぶ必要はありません。

大管(おおくだ)

主に整経をする時に使います。経糸を巻く木管です。
大管立ての種類により、大管の形状の違います。
大管ではなく、「糸枠」で整経をする方法もあります。

糸車(いとぐるま)

大管、小管に糸を巻く道具です。
前方の「つも」と呼ぶ金属の棒に管を挿して、車を回して糸を巻きます。
糸車で、紡毛や真綿を紡ぐこともできます。

かせかけ

糸が綛の状態の時に使います。
織物用のかせかけと、編み物用のかせかけがあります。どちらも使用できます。
綛の「あみそ」がはっきりしている糸は、織物用が適しています。
「かなかけ」ともいいます。

整経台(せいけいだい)

経糸を整える道具です。整経台に足がついているものと、整経する面を立てかけるものなどがあります。
経糸の本数や柄によって整経の方法が違います。整経の善し悪しで織物が決まります。

大管立て

整経をする時に、大管を並べる道具です。
整経台の形状によって、大管立ての形も違います。

綜絖通し(そうこうとおし)

ワイヤーヘルドの綜目に糸を通す道具です。ウール綿用、絹用の2種があります。

筬通し(おさとおし)

筬に糸を通す道具です。金属の板状で、糸を引っ掛ける鉤の部分と凹状になった部分があるのが一般的です。
粗筬にも用います。
竹を薄く削って、手作りすることもできます。

小管(こくだ)

織る時に緯糸を巻く管です。
竹製の小管は少なくなり、木管製が主流です。プラスチック製もあります。
木管製は両端が丸く盛り上がっていて、巻いた糸がこぼれ落ちないようになっています。
小管の巻き方も織り方を左右します。

杼(ひ)

緯糸を巻いた小管を杼のヒゴに挿して、開口した経糸に通して織る道具です。
綿用、絹用、すくい杼、かつお杼、大型の杼、板杼など、形は様々で、それぞれに適した使い方があります。

伸子(しんし)

織幅(おりはば=筬に通る経糸の幅)に合わせて、織布の織前(おりまえ)に付ける道具です。
織幅を均一に保つために付けますが、それでも織縮みはあります。
伸子の両端は数本の針が打ち込んであり、その針を左右の織耳(おりみみ)に刺して使います。そのため柔らかい質感の織布には不向きです。
竹製、木製があり、織幅に合わせるスライド式と一定の幅のみに使うタイプがあります。

あぜ棒

「綾棒」「綾竹」の名称が一般的です。
整経後のあぜ(=あや)に通します。糸の順序を保つために使うので、綜絖通し、筬通しに間違いがないことを確認するまで外しません。
綜絖から間丁(けんちょう)までが長い高機の場合は織っている際にも付けたままで織ることができますが、短い織機は開口が悪くなるので外します。

機草(はたくさ)

経糸の千巻の時に使用します。経糸を平らに並列させ、全体の張りを均一に保つために、経糸と経糸の重なりの間に挟んで巻きます。
必ず織幅より広い紙を使います。丈夫で柔軟な紙が向いています。
巻く時に機草を挟む頻度は、経糸の形状により変えます。太い凹凸のある経糸はこまめに挟んだ方が良いです。これは糸のくせが経糸全体の歪みになることがあるからです。
名前の由来は、昔は草や葉を挟んだことからきているらしいです。
紙ではなく、薄く細長い木の束を挟むこともあります。


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