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染織基礎知識「組織」3

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組織図の表し方

「組織図を読む」のタイトルで、「タイアップ」「綜絖の表し方」「踏木の表し方」を記しました。 この3つの織物の土台があって、組織が成り立ちます。

多くの人は、まず最初に「織る」ということを経験します。そして、その過程で織物の経糸と緯糸の交差の仕組みに興味を持つことがほとんどだと思います。もちろん、当初から組織図そのものに興味を持つこともあると思います。その場合でも、経糸の通し方と緯糸の入り方、織機のタイアップは、理解しなければならないことです。

最初に何度かお断りしましたが、自身がろくろ式高機を使用しているために、ろくろ式の方法を記しています。
ろくろ式高機は、踏んだ踏木と連結している綜絖が下がり、経糸が開口します。これは、タイアップ図の黒い升目の綜絖が下がることを意味しています。そして、白い升目の綜絖が上がることも表しています。

組織図は、織物の設計図です。
経糸と緯糸の交差の仕組みを表すためのものです。組織図の約束事として、「黒=経糸」「白=緯糸」があり、この2色のみで表します。黒い升目=経糸を、「組織点」といいます。

タイアップ、綜絖、踏木も同じように黒い升目ですが、組織図の「黒」「白」とは色の意味が違います。タイアップ、綜絖、踏木の黒白は、そこにイタリアンコードが結ばれている、経糸が通っている、踏木の踏む順序のための記号です。
同じ黒白の升目で混乱するようであれば、タイアップ、綜絖、踏木の記号は変えても組織図の黒と白は変えないでください。


組織図-1
例:平織の組織図

踏木の表し方の項で、平織の綜絖と踏木を升目に書きました。この組織図を書きます。


組織図-2

踏木の1段目の升目に注目します。この段の緯糸は3番の踏木で織られています。


組織図-3

くどく繰り返しますが、ろくろ式の場合は、踏んだ踏木に連結している綜絖が下がります。3番踏木は1番綜絖と3番綜絖に連結しているので、1番と3番が下がり、連結していない2番綜絖と4番綜絖が上がります。1番綜絖と3番綜絖に通っている経糸は緯糸の下に潜り、白い升目の2番と4番の綜絖の経糸は緯糸の上にのることになります。

その2番と4番の綜絖に通っている糸を綜絖の中に探します。


組織図-4

綜絖の升目に2番と4番に通っているところを確かめ、その綜絖の同列上の、踏木の1段目の段に目を移します。


組織図-5

踏木1段目の段の、2番と4番の綜絖に当てはまる升目を黒くします。この升目が緯糸の上にのっている組織点、ということを表しています。


組織図-6

踏木2段目に移ります。同じように、2段目を踏んでいるタイアップを確認します。4番踏木で織られています。


組織図-7

4番踏木で経糸が上がる1番と3番の綜絖を確認します。


組織図-8

綜絖1番と3番の同列上の、踏木の2段目の段を確認します。


組織図-9

踏木2段目の段の、1番と3番の綜絖に当てはまる升目を黒くします。


組織図-10

平織は、3番踏木と4番踏木の交互で織ります。3段目以降は、1段目と2段目の繰り返しになるので、組織も黒と白の交互のリピートになります。


組織図-11

ここでの平織は、2本踏木4枚綜絖で織っています。この組織の1パターンは、太い赤枠の8つの黒白の升目になります。
1リピートの綜絖と踏木で表される最小単位の組織を、「完全組織」といいます。

*この組織図の平織の完全組織は、4枚綜絖で表しているものです。「平織の完全組織」については後述します。


組織図綾織-1
例:綾織の組織図

綾織の組織図です。踏木の表し方の項の綜絖と踏木の図で記します。


組織図綾織-2

踏木の1段目のタイアップを見ます。1番の踏木を踏んでいます。


組織図綾織-3

1番踏木の白い升目を確認し、1番綜絖、2番綜絖に経糸が通っていることを確認します。


組織図綾織-4

1番綜絖と2番綜絖の同列上の、踏木の1段目を確認します。


組織図綾織-5

1段目の1番綜絖と2番綜絖の升目を黒くします。1段目は1番と2番の綜絖の経糸が緯糸の上にのっていることを表しています。


組織図綾織-6

踏木2段目のタイアップを確かめます。5番の踏木を踏んでいます。


組織図綾織-7

5番踏木の白い升目から、糸が通っている綜絖を確認します。


組織図綾織-8

1番綜絖と4番綜絖の同列上の、2段目の踏木の升目を確認します。


組織図綾織-9

該当する升目を黒くします。


組織図綾織-10

踏木3段目のタイアップを確かめます。2番の踏木を踏んでいます。


組織図綾織-11

2番踏木の白い升目から、糸が通っている綜絖を確認します。


組織図綾織-12

3番綜絖と4番綜絖の同列上の、3段目の踏木の升目を確認します。


組織図綾織-14

該当する升目を黒くします。


組織図綾織-14

踏木4段目のタイアップを確かめます。6番の踏木を踏んでいます。


組織図綾織-16

6番踏木の白い升目から、糸が通っている綜絖を確認します。


組織図綾織-16

2番綜絖と3番綜絖の同列上の、4段目の踏木の升目を確認します。


組織図綾織-17

該当する升目を黒くします。


組織図綾織-18

踏木の1リピートが終わりました。綾織は、4段で1パターンの組織が完成します。


組織図綾織-19

さらに連続した組織を確かめたい時は、同じように繰り返していきます。


組織図綾織-20

綾織の組織図は、経糸が順序よく斜めに並びます。図で経糸の黒い升目の上に赤線を書きましたが、これは経糸が連続して織布上に見えているという状態、また、青い線は緯糸が経糸の上にのっているという状態を表しています。


組織図綾織-21

綾織の最小単位の完全組織図は、太い赤線内です。この繰り返しが、綾織の組織になります。

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