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織っている時の支障」2

経糸が弛んだ

性質の違う糸種を並べて整経すると張力の違いから経糸全体に弛みが出ることはありますが、ここで記す弛みは経糸の中の1本の糸の弛みのことをいいます

織っている時に、1本だけの経糸の不自然なたわみを見つけることがあります 原因は、整経の時に均一に糸を張ることができなかったことが多いです 弛みをこのままにして織り続けると、糸が切れやすくなります わずかな弛みならば全体の張力の中に吸収されて支障がなくなることもありますが、2〜3cmの大きな弛みは経糸の絡みなどのもとになります このような整経が原因の弛みは、千巻の時に手前に引き寄せて弛みごと千巻箱に巻き込みます その結果、織っている時に糸の弛みが表に出てくるので、修復は織面の上で行います

弛んだ糸は、織っている方向に引いて待ち針で織面に留めます このまま織りを再開し、織っているうちに糸を留めた待ち針が綜絖の方向に引っ張られて動くようであれば、待ち針を外して弛みを筬、綜絖の方へならすと、弛みは他の経糸と同化して消えることもあります

待ち針で留めて織っても弛みの糸に動きがないようなら、その糸を留めたまま織り進みます 筬密度が細かくしっかりした織布なら、4、5cm織ったところで待ち針を外して、織面ぎりぎりに弛んだ糸を切ります 糸目の粗い織布は、すぐに待ち針で留めず、弛んだ糸を織前近くで切って同じ糸で機結びをしてから織面に待ち針で留めます このまま織り進み、男巻に巻き取る前に結んだ糸をステッチ針に通し、同じ経糸の織り方をなぞっていきます 経糸が切れた時の修復方法をご参照ください

整経工程の経糸の弛みではなく、糸種によって伸びやすいものがあります また、毛羽が絡むと切れずに伸びてしまうこともあります こうした時は待ち針で留めても同じように弛むことが多いので、綜絖枠から間先までの経糸の状態を見極め、毛羽を取るなり、経糸を長く結び替えるなりします

経糸の毛羽(けば)

多少の差はありますが、糸には繊維の毛羽がつきものです 毛羽が織物に風合いやふくらみをもたせてくれます 逆に、それは織る時の支障にもなります

ウールモヘアのように毛羽が特徴の糸もありますが、絹のスラブ糸、柞蚕糸なども糸の節の毛羽立ちが目立ちます また、着尺に使用する玉糸は、繭の毛羽が多い糸です その他、麻糸、綿糸の単糸も毛羽立ちます

毛羽が織りの支障になるのは、経糸同士の毛羽が絡んで開口が悪くなったり、綜絖や筬に引っかかり糸が擦り切れたりするためです 毛羽をふせるために、織工程に入る前の綛糸の状態の時に糊付を行います

糸に使用する糊は、しょうふ糊と布海苔(ふのり)です 双方とも染料店で扱っています 布海苔は、練絹(ねりぎぬ)には欠かせません 練絹は精練過程を経た絹糸のことで、柔らかくしっとりとした手触りが特徴ですが、数々の織りの工程をこなすには弱い糸です 玉糸や生糸の練絹を扱う時は、布海苔としょうふ糊を併用します 綿糸、麻糸はしょうふ糊のみ使用します

糊付には毛羽をふせるだけではなく、織の工程に耐えられるように糸に仮の強度を持たせる役割もあります 綿糸の単糸は毛羽もありますが、それよりも撚りが弱いために糊付でコーティングをして強くする目的もあります 同じ理由で麻糸のラミー、リネン共に糊付をします 麻糸というと強い印象がありますが、織糸としては弱く、織っているうちに擦れてくることは度々あります

すべての糸に糊付が必要ではなく、絹糸でも毛羽立たない絹紡糸や撚りのしっかりした紡績糸は、糊付をしなくても支障なく織ることができます 綿糸でも2本以上撚り合わせた糸は、丈夫なため必要ありません また、ウール糸は糊付はしません

糊は織り上がり後も残ることが多く、織物の目的によっては却って面倒なこともあります そのため、織布の用途と糸種の選択との兼ね合いが必要になります 多くの場合、糊付は経糸のみで緯糸には糊付は行いません

糊付の方法は、糸染の工程より「綛糸の糊付」をご参照ください

緯糸を飛ばした

緯糸を飛ばすとは、緯糸が経糸を飛び越したりくぐったりして、通るはずの段に入っていないことをいいます 原因は、踏み木の踏み間違いや経糸の開口の悪さにあります 
その原因を直す前に、まず飛ばしてしまった緯糸を抜きます

緯糸を入れた直後に飛ばしに気づいたら、その段を開口して杼を入れた方に戻します そうすると、戻した緯糸に経糸が引っかかります 緯糸を戻した方の織耳から2〜3cmのところで切ります 切った緯糸を引いて絡みを抜きます 次の段の踏み木を踏み、切った糸を開口した経糸に入れます 織耳からわずかのところでこの糸は収まります 同じ段に新たに杼を入れ、切った糸端と杼の緯糸の糸端を2cmほど重ねて打ち込みます その後、織りを再開します


緯糸

数段織ってから緯糸を飛ばしたことに気づくことがあります 既に織った緯糸を戻して解くことは経糸を傷める原因になります このような時は、飛ばした緯糸の段まで、経糸と経糸の間に3、4ヵ所縦に緯糸を切ります 切った緯糸を、指で抜いていきます 初めに織面中央を抜き、次に織耳の緯糸を抜きます 緯糸を切る時、経糸を切らないように注意します 緯糸を飛ばした段まで緯糸を抜いたら、織を再開します 再開の始めに、糸端を重ねて織り始めます

緯糸を飛ばした原因を考えます 1番多い原因に踏み木の踏み間違いがあります これは足の置き場に気をつけるしかありません 同じくよくある原因は、経糸の毛羽が引っかかり開口ができずに緯糸が飛んでしまうことです 織り途中の毛羽なので、糸を傷めないように丁寧に毛羽を除き、ヤマト糊を摺り込んで毛羽を伏せます

織前が波立つ

正しい打ち込みで織っている時の織前は、筬に対し平行です 織り進んで織前と筬の間が狭くなり、織った織布を男巻に巻くと、織前が波立つように小刻みに歪みます この歪みは織前のみでそれ以前の段は正常です

これは経糸の張りが緩んだために織前の緯糸のみ打ち込みの抑えが解けたためで、どんな打ち込みをしていても起きることです 男巻を巻いて経糸を張り直した後、そのまま織り始めると、織前の波立ちが歪んだまま次の段の緯糸が打ち込まれます 織った布を男巻に巻く長さはおおよそ同じですから、同じ長さの織面に歪んだ筋が残ることになり、織りムラになってしまいます

これを避けるために、経糸を張り直した時は必ず空(から)の打ち込みをします 強い打ち込みの時は強く、抑えた打ち込みの時は抑えて、通常の力で緯糸を抑えて歪みを直します 細かいことですが、織りムラは織り上がり後に気づくことが多いので、織っている最中に気をつけます

織耳が揃わない

織耳とは、織物の左右の端です

織耳に緯糸が飛び出したり引っ込んだりと凹凸ができることは、織に慣れないうちは必ずあります 経験を重ねるうちに、いつの間にかきれいな織耳になっていたということも多いです


織耳

作品によっては、織耳が揃っていないと不自然に見えるものもあります ですが、ショールやマフラーは織耳のみを見せて使うことはあまりありませんし、タピストリーなどは大きさにもよりますが、少しくらいの織耳の不揃いは目立たないものです

織耳の不揃いを気にするあまり、織端の糸を指で掻いたり引っ張ったりすると経糸が歪みます また、入れた緯糸を強めに張って織耳を揃えようとすると、織幅が狭くなり織りにくくなります

織耳は、様々な力関係で形を成します 経糸が均一に張られているか、特に織端付近の緩みはないか 小管の巻き方は緩くはないか 杼の持ち方は正しいか 踏み木と打ち込みのタイミングは正確か すべてが関連して、緯糸が杼から繰り出されます これらのひとつひとつを改めて点検してみることも必要です

意識して織耳を揃えるには、緯糸の張り方を工夫します 緯糸が太い時は織前に緯糸の山を描いてから打ち込みます 山の大きさは糸の太さによって変わりますから、試しつつ調節します 山を描くことで緯糸に余裕ができて縮みが抑えられて、織耳も乱れにくくなります

緯糸が経糸と同じ程度か細い時は、緯糸を意識して緩やかな坂状に流します 折り返した織耳が坂の下、経糸に通して反対側の織耳に出た緯糸が坂の上のような形にして打ち込みます このようにすると、緯糸が無理なく経糸に収まり、緯の織縮みも少なくなります

緯糸を替える

支障ということではないですが、2種以上の緯糸を使用する際の緯糸の始末は意外と目立ちます

複数の緯糸で織る場合、糸種の数、または色糸の数だけ杼を用意します どのような柄ゆきにするかで緯糸の入れ方も違ってきます 

細い緯縞(よこじま)の場合

AとBの2種の緯縞を2段ずつ重ねるという柄であるとします まず、Aの縞の緯糸を1段織り、踏み木を替えます Aの縞糸の糸端が織端に出ますが、これは踏み木を替えた時の開口の中に入れて次の段に同化させます そのままAの緯糸で2段織ったら、緯糸は切らずに杼箱に置きます Bの緯糸に替えて2段織ります この時の糸端の始末もAの緯縞と同じです Bの緯縞を2段織り、再びAの緯縞に替えます 細い緯縞を繰り返すうちは切らずに織耳に糸を飛ばします この方法は、織耳に糸が残っても気にならない程度の細い幅の時に役立ちます この幅は、約3cmくらいが限度です

広い緯縞の場合

入れ始めの緯糸の糸端は、最初の段を打ち込んだ後、次の段に入れて糸端を同化させます そのまま織り進み、緯糸を替える時は織耳から2cm先を切り、織耳の端の1本の経糸の掛けて縞の最後の段に入れて打ち込みます この繰り返しで緯糸を替えていきます 織耳の端の経糸に掛けて同じ段に入れて織ることは指先の細かい作業ですが、替える際に切る長さを長めにして、1、2cmのみ織り込み余分な糸端は織面に出して、男巻に巻く前に織面間近で切る方法もあります

小管交換

小管に巻いた緯糸の終わりと始まりは、重ねて同化させて織面を自然にみせます

織耳の近くでなくなれば次の段に糸端を入れて、新しい小管の緯糸で通常のように織り始めます 織端で緯糸は重なりますが、さしたる支障にはなりません

織面の中程で緯糸が終わった時は、終わった糸端をそのまま打ち込み、その糸端に新しい小管の緯糸の始めの糸端を1cmほど重ねて同化させて織り進めます 緯糸の継ぎ目が目立たないように、長く重ねないようにします

終わった緯糸を織耳から2cmほどのところで織面に引き上げて、新しい小管の緯糸を織端から始める方法もあります これは、織耳で緯糸が終わった時のやり方と同じです 継ぎ目が目立たないため、太めの緯糸はこちらの方法が向いています

長さの確認

高機で織る織物は、絵画のように一目で全体像を確認することはできません 長さの確認も同じです 織物の用途により、現在どのくらいの長さを織っているかを確認することが必要になります

紙テープに目盛りを書き、織耳に待ち針で留めるやり方が簡単です 織るものによって紙テープの長さを変えます また、使い回しができるように、布テープの目盛りを書くこともできます

ショールのように一枚の紙テープで織り始めから終いまで測ることのできるものは、ショール1枚分の長さの紙テープに10cm単位で印をつけてこまめに確認しつつ織ります

服地や着尺のように何mも織る時は長い紙テープは邪魔になります その場合は1m単位の紙テープを基準にして、これを何回繰り返して付け替えたかを記録しておく方が便利です また、緯糸に規則的に柄を入れる時に、この紙テープに柄の幅を書き込んでおくと同じ長さの柄を織ることができます

ただ、紙テープの長さと実際の織物の長さは違います 織物には必ず織縮みがあります 紙テープ通りに160cmに織ったショールを機から外すとそれより短くなるのは織縮みのためです


緯糸

織耳につけた紙テープは、男巻に巻き込まずに織面に付け替えていきます 男巻に布を巻く時に紙テープの位置を付け替えますが、その時に経糸を緩めたままで付け替える方が織縮みのための誤差を少なくすることができます

途中で織物を切る

マフラーやショールを3、4枚分まとめて整経したけれど、最初に織った1枚分のみ機から外したい あるいは長い整経をしたが途中で終わらせて、残った経糸で新たに別のものを織りたいなど、経糸が終わる前に織った織布を途中で切る場合があります

また、着尺のように長く織る時、早い段階で男巻ロット棒に結び付けた経糸の結び目を切り離すことがあります

ロット棒に結んだ経糸が不用は時は、織り始めと結び目の境目を切って男巻布を外します 結んだ経糸が必要な時は、男巻布のロット棒を経糸の結び目から抜いて男巻布を外します 男巻布は男巻にはめてあるだけなので、簡単に外せます


織り

この時に必要なことは、経糸を切る位置から先、50〜60cm織られていることです

織布や結び目を切り離してから男巻布を外して、続きの50〜60cmの織物の端5cm程を抑えの棒で直接男巻の溝にはめます

男巻の溝にはめる時、織布を二つ折りにしてヤマの線を男巻の中心に据えてから広げると、経糸の流れがまっすぐになります 柔らかい織物は歪みやすいですが、織物の緯糸の線と男巻の溝の線を正確に一致させます その上から棒を慎重にはめます 溝にはめたら男巻に巻きますが、この時に巻く長さが短いと男巻の溝にはめた棒が経糸の強い張りに負けて取れてしまいます 50〜60cm織った長さが必要になる理由は、男巻に充分に巻き込んで溝にはめた棒を固定するためです

この方法を行うには、男巻の溝にはめることができる程よい織布の厚さが必要です 厚手の織物ははめること自体が無理なことが多く、力任せにはめて男巻の溝の棒を折ることもあるので、そうした織物は男巻布から外さずにそのまま織り進めます

織物を途中で切るもうひとつの方法は、経糸に直接鋏を入れて切ります その時、張った状態で鋏を入れると、反動で経糸が筬、綜絖から抜けてしまうので、経糸を充分に緩ませます 一握りずつゆっくりと鋏を入れ、切ったらすぐに筬の手前で結わえます そして、また新たに男巻布のロット棒に経糸を結び付ける作業をします

糸の後片付け

大管でも小管でも、多めに糸巻きをするので、織り終い後に糸が余ることは仕方のないことです

大管、小管に巻かれた状態で保存しておいても構いませんが、毎回残った糸をそのままにしておくと道具が足りなくなります 大管の場合、1本に残った量が多い時はそのまま保存した方が後日使用する時には便利ですが、複数本の同じ糸をそのままにしておくことも大管が足りなくなった時には不便です


織り

また、カレンダーの紙を小管と同じ長さにして、そこに小管に余った糸を巻いておくと、そのまま小管として使用できます。


織り

ウール糸は、玉巻き器で巻いて保存します 自在に取り付けられる既製品ですから、場所を選ばず便利です この玉巻き器はウール糸以外に使用すると玉が崩れることがあります 太い絹糸や綿糸を玉巻き器で巻いた時は、芯に紙を丸めて挿しておくと型くずれしにくくなります 細い糸を玉巻き器で巻くと絡みやすくなり、次の機会に使用できなくなることが多いですから避けます

そうして使い終わった糸の収納は、次回のために丁寧に分けておきます 糸の種類別、生成糸と染色済みの糸など、自分でわかりやすい分類方法を決めておくと便利です また、同じ糸で同じ色に染めたものは一緒に保存しておく方が無駄がありません

糸には衣類と同様の虫がつきます 糸を食べた虫がコートやセーターなどの衣類についたり、また逆のこともあります 収納する際には季節を問わず必ず防虫剤を入れます

色糸見本

織り見本と同じく、染めた糸の見本は染織をする上で大切な宝物です 使用した糸の実物を見るだけで色や糸の質感がわかります

色糸見本の作り方は、その人が何を求めているかにより工夫します 染料別に保存する 赤系統やモノトーンといったような色に重きをおく 制作順に記録する など… 自家製のファイルを作成するもの便利です

必ず記入することは、染めた年月日、染料の種類と色の名前、パーセンテージ、そして、糸の実物の貼付けです


ノート

その人だけの記入の方法、自分だけの制作の記録ですから、他人にはわかりづらくとも構わないと思います  要は本人の備忘録です


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