織物はもちろんのこと、ものを作る基準が単位です
ここでは、織物制作で使われる単位を記します 染織の工程にそれぞれの違いがあるように、単位の使用方法、換算方法も相違があります そのことをご了解ください
一般に、尺は曲尺(かねじゃく)のことをさしますが、和裁縫や染織では鯨尺(くじらしゃく)を用います
尺の分量単位は、1尺=10寸(すん)=100分(ぶ)です
鯨尺1尺は、37.879センチメートルです
現在、鯨尺は織物の単位に用いることは少なくなり、メートル、センチメートル単位を使用する方が多くなっています
JIS L 0208:2006より
糸の最小単位は綛です その綛をまとめた綛の束を捻といいます さらに、捻をまとめたものを玉、または括(かつ)といいます
綛、捻をまとめる数は、糸問屋さんにより違いがあります また、玉は主に綿糸に、括は絹糸に使用します
d(デニール)
絹糸の太さの単位です 1グラムに9000メートルある糸の太さを1dといいます 10dは1dの10倍、100dは1dの100倍の太さになり、数字が大きいほど太い絹糸になります
絹糸は繭糸を複数本合わせて糸にするために、一定の太さになりにくい性質があります そこで太さの平均値として、中という文字を使います
中を使用する絹糸は、生糸(きいと)と玉糸(たまいと)です 生糸は機械で製糸され、21中、27中、35中と表示します 例:21中8…21dの生糸が8本撚り合わされていること 21 × 8 =168d
一方、玉糸は人の手で作られるために生糸より太さにムラがあり、毛羽、節が多い絹糸です そのため、生糸よりも太くなります 60中、110中などがあります 例:110中2…110dの糸が2本撚り合わされていること 110 × 2 = 220d
絹糸専門の問屋さんの糸には、「品名」「綛の枠周」「綛の上げ数(1綛に巻かれている回数)」「量目」を表示した札が付いています それにより1綛あたりの長さを計算します
また、その他ウール糸と同様の単位を表示することもあります その場合はウール糸と同じ計算方法になります
綿糸の太さを表す数字を番手(ばんて)といいます
20/1、20/2と表示し、/の前の数字が番手、/の後の数字が撚り合わせた本数になります
20/1は、1本のみの撚り=単一の糸、単糸(たんし)、20/2は2本撚り合わされる糸で双糸(そうし)といいます
読み方は様々ですが、20/1は20の単糸、または20の1、20/2は20の双糸、20の2などと呼んでいます
番手の数字が大きいほど、糸は細くなります
なお、番手は20/1…20番手の単糸という場合もあり、20/1、20/2の表示そのものをさす場合もあります
綿糸の番手は英国式の単位を使用します 標準長840ヤード(768メートル)を1綛とし、標準重量は1ポンド(453.6グラム)です
1ポンド中にある綛数が、番手の数字になります
糸の番手、重量、長さの計算式は、840ヤード=768メートルを、約750メートル、 1ポンド=453.6グラムを。約450グラムとして、番手 = 450グラムある糸の長さ ÷ 750メートル と計算します この計算式から、1グラムあたりの長さが算出できます
この計算式は、スラブ糸や加工糸には適用できません
羊毛を始めとしてほ乳類の毛を刈り取って紡績した糸、あるいは混紡糸を含め、すべてをウール糸として記します
1グラムで1メートルある糸を1番手といい、1/1(1g/1m)と表示します
1/10、2/20と表示し、/の前の数字が撚り合わされた糸の本数、/の後の数字が糸の番手になります 番手の数字が大きいほど、糸は細くなります
1/10は、1グラムで10メートルあること、10番手の糸の単糸ということを示します 2/20は、2グラムで20メートルあること、20番手の糸が2本撚り合わされている双糸であることを示します 2グラムで20メートルありますから1グラムでは10メートルになり、1/10と2/20は同じ太さになります
この計算式は梳毛糸、紡毛糸には当てはまりますが、モヘヤ糸、ループ糸、ネップ糸、手紡ぎ糸などには適用できません
10羽、20羽というように表示します 筬の細い区切りのことを筬目といいます
鯨寸間の場合、1寸間10の筬目があるものを10羽と呼び、20の筬目は20羽、30の筬目は30羽といい、数字が大きくなるほど筬目は細かくなります
センチメートル間筬は、1センチメートルに2.5の筬目があるものを2.5羽、5の筬目のあるものを5羽といいます これは織物倶楽部で使用しているクマクラ織機の筬の例ですので、機屋さんにより相違があります