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糸染の工程「天然染料」

草木染めには、根強い人気があります 身近の植物で染めることに、力強さと優しさを実感できるからでしょうか
都会に住む自身の糸染は、豊かな自然の中で染を勤しむ方々よりは狭いものです それでも、居住の地の自然を表現し、都会でできる染織もあると考えています
自身は、染材の自然採取は行っていません 自宅の庭の植物を摘んで乾燥させることはしていますが、それは微々たるものです ほとんどの染材は購入しています 購入する天然染料の染材の長所は、堅牢度が信頼できること、染材にもよりますが、ほとんどのものが常時入手できることです これは、染料店の実績の確かさと先人達の研究の賜物です 自然採取でなくとも天然染料を楽しみ、自分の色を求められることは、この時代のありがたさであると思います
ここに記すことは、そうした環境で暮らす者が培ってきたものであることをご理解ください
天然染料の染材は、それこそ植物の数程あろうかと思います ここでは、自身が実際に行ったことがある、責任を持って記せる染材のみ載せることとします

媒染と媒染剤

天然染料の染色方法は、被染物の種類や技法で違います 天然染料の糸染は、媒染をして色を染める方法が一般的で堅牢度も高いです 媒染を行わずに染める染料として紅花や藍がありますが、双方とも古来から伝わる独特の染色技法があり、これを習得するにはかなりの経験が必要です

古来、媒染は自然に存在するものを利用していました 奄美大島の大島紬は、車輪梅(しゃりんばい)=バラ科の樹皮を煮出した染浴で色を染めた後、鉄分の多い泥土につけて発色をさせます あるいは、椿=ツバキ科の灰汁(あく)は、アルミニウムを多く含んでいるために、自然のアルミ媒染とされてきました こうした自然物を媒染に使用することは、主に地場産業を受け継ぐ方々、そうした自然環境で染色を行う方々の手で今も行われています

現在、天然染料の媒染は通常媒染剤を用います 媒染剤とは水溶性の金属塩のことで、市販の媒染剤は薬品です 媒染剤の中には劇薬もあります すべての薬品は慎重に扱うことが必要です

・厳重な薬剤管理を行うこと ・適量を守ること これらを守ることは染色を行う者の責任でもあります

媒染は、先媒染と後媒染があります 先媒染は、先に媒染剤を希釈した溶液で糸を煮る、または浸けて、放冷の後、天然染料で染める方法です 後媒染は、先に天然染料で染めて、放冷の後、媒染剤を希釈した溶液で媒染する方法です どちらの方法でもよい媒染剤もありますし、厳密に一方だけで行わねばならないものもあります 

どちらの媒染、染色工程でも、必ず放冷を行います 放冷とは、沸騰後の媒染液や染浴を35℃〜40℃に冷ますことです 季節により冷める時間の違いはありますが、最低でも2時間は放置したままにします この時間に媒染液や染浴が充分に冷まされ浸されて、糸は固着発色しますから、慌てずに時間をかけて待つことが大切です


糸染め

先媒染の場合、媒染した糸を媒染液と共に放冷し、染色に入る前にアンモニア処理をします アンモニア処理は、糸に付着した媒染剤を固着させるための工程です アンモニア処理を行わなくとも染めることはできますが、糸に媒染剤が充分に固着しないために染まり方が薄くなり、また染浴に媒染剤が落ちることがあります アンモニア水の必要量は、4cc/Lです アンモニア処理をした糸は、乾かさずにただちに染色に入ります  例外として、コチニールはアンモニア処理は行わず、放冷の後にすぐに染色に入ります  後媒染の場合は、アンモニア処理は行いません
後媒染の場合は、染色から放冷し、ただちに媒染に入ります

媒染の濃度は、天然染料の濃度と密接に関係してきます

媒染剤と使用方法

アルミ媒染

糸染め
糸染め

カリ明礬(みょうばん)=硫酸カリウムアルミニウム(AIK(SO4)2・12H2O)、酢酸アルミニウム(AI(CH3COO)3)の2種を使用しています ふたつの違いは、酢酸アルミニウムが塩基性なのに対し、カリ明礬は非塩基性であることです

絹糸、ウール糸の媒染は、塩基性の媒染剤を用います これは、動物繊維がマイナスイオン=アニオンなのに対し、塩基性媒染剤がプラスイオン=カチオンとなり、イオン結合で結びつく作用があるためです この理由から、絹糸、ウール糸の媒染は、酢酸アルミニウムを使用します 動物性天然染料のコチニールを染める時は、カリ明礬を使用します

綿糸、麻糸などの植物繊維の媒染は、塩基性でも非塩基性でも染められるので、カリ明礬、酢酸アルミニウムとも使用できます

アルミ媒染は、先媒染、後媒染のどちらでも使用できます ただし、例外としてコチニールは必ず先媒染になります

アルミ媒染の媒染剤を溶かす時、必ずホーロー製のボウルと木さじを使います カリ明礬は水に溶かすと硫酸が発生し、ステンレスを傷めることがあります 溶かした媒染剤を20〜30倍に希釈した場合は、ステンレスタンクでも大丈夫です

酢酸アルミニウム…濃色5%、淡色1%程度

例:絹糸100gに、酢酸アルミニウム3%の先媒染をする
    染浴は、糸の重さの20〜30倍


糸染め

酢酸アルミニウム3gを量り、ホーローの小ボウルに入れます 酢酸アルミニウムは水のみでは溶けにくいので、酢酸を少々加えて溶かします その上で、温湯を加えて完全に溶解させます

タンクに35℃程度の2Lの温湯を用意し、溶かした酢酸アルミニウムを入れて撹拌します 湿らせておいた絹糸100gを脱水して、よくはたいて媒染液に入れます 綛糸を一通り繰ってタンクを中火にかけ、昇温させながら繰りを始めます 繰り方によって、綛が乱れることがあるので注意します 糸を繰る時は、ゴム手袋をはめて両手で綛糸を持ってゆっくりと回すか、染色棒に綛糸をかけて繰るようにします 60℃〜70℃になったら、繰りをやめて糸を媒染液に浸し、そのまま90℃以上を保ち、30分煮沸します 30分経ったら火を止め、糸を入れたまま媒染液を放冷します 40℃前後まで下がったら、糸を絞ります 糸が大量の場合は、脱水機で30秒程脱水します ボウルに4cc/Lのアンモニア水を入れ、軽く撹拌して、絞った糸を約15分浸します 15分後脱水し、軽く水洗いをします 白濁した汚れが落ちたら、脱水をして染色に入ります 媒染した糸は、乾燥すると媒染の効果がなくなるので染色はただちに行います

カリ明礬…濃色で7%、淡色で2〜1%

例:絹糸100gに、カリ明礬5%の先媒染をする *染料コチニール使用の場合
      染浴は、糸の重さの20倍程度

カリ明礬を量り、ホーローのビーカーに入れます 100cc程の水を加え、弱火にかけます カリ明礬は溶解が悪いので、温めて溶かします この時、木さじで撹拌します タンクに用意した35℃程度の2Lの温湯に、完全に溶かしたカリ明礬を入れます よく撹拌し、湿らせておいた糸を脱水してはたき、媒染液に入れます 糸全体に行き渡ったらタンクを中火にかけ、綛糸が乱れないように繰り始めます 60℃〜70℃になったら繰りをやめて媒染液に浸し、そのまま90℃以上を保ったまま、30分煮沸します 30分経ったら火を止め、糸を入れたまま放冷します 40℃前後まで媒染液の温度が下がったら、ゴム手袋をして糸を絞って何度かはたき、放冷の間煎じておいたコチニールの染浴に入れ染色に入ります 媒染した糸は、ただちに染色します

カリ明礬→コチニールの糸染は、植物繊維でもアンモニア処理は行いません

例:綿糸100gにカリ明礬5%の先媒染をする *植物染料使用の場合
      染浴は、糸の重さの20倍〜30倍

媒染の方法は、上記絹糸と同様ですのでご参照ください 綿糸は嵩の多い場合があるので、手で絞り切れない時は脱水機で30秒程脱水します ボウルに4cc/Lのアンモニア水を用意し、軽く撹拌して絞った糸を入れ、約15分そのまま浸します 15分経ったら脱水し、軽く水洗いをします その後脱水をし、染色に入ります 媒染した糸は乾燥させず、ただちに染色を行います
コチニールで染める時は、アンモニア処理は行いません

クロム媒染

クロム明礬
クロム明礬

クロム明礬(みょうばん)(CrK(SO4)2・12H2O)、酢酸クロム(Cr2(C2H3O2)4(OH)2)の2種を使用しています クロム明礬は紫色の結晶で、温湯で溶解すると緑色になります 酢酸クロムは緑色の粉末です 媒染剤の色は、染の色に多少影響します クロム明礬と酢酸クロムの場合は、はっきりとわかる程ではないですが、クロム明礬の方がやや赤みがあり、酢酸クロムは青みが残る傾向にあります これは、媒染剤が天然染料の色素より強いためだと考えます 2種の使用方法はほぼ同じです どちらの媒染剤も先媒染、後媒染ができます 先媒染をした場合は、アンモニア処理を行います


酢酸クロム
酢酸クロム
クロム明礬…濃色7%、淡色3%
酢酸クロム…濃色5%、淡色1%

媒染剤の濃度は違いますが、使用方法はほぼ同じです

例:絹糸100gにクロム明礬7%の先媒染をする
      染浴は、糸の重さの20〜30倍

クロム明礬7gを量り、ホーローのビーカーに入れます 100cc程度の温湯を加え、弱火にかけて溶かします タンクに用意した35℃程度の2Lの温湯に、溶かしたクロム明礬を注ぎます 媒染液を撹拌し、湿らせておいた糸を脱水して、よくはたいてから、ゴム手袋をして媒染液に入れて繰ります 一通り糸に媒染液を浸してからタンクを火にかけ、60℃〜70℃程までゆっくりと繰り続けます その間、糸が乱れないように注意します 70℃を超えたら媒染液に糸を浸します 90℃を超えたらそのまま30分煮沸し、その後火を止めて放冷に入ります 2時間程放冷して媒染液が40℃程に下がったら、糸を絞ります 水を注いだボウルに4cc/Lのアンモニア水を入れ、軽く撹拌して、糸を約15分浸します 15分経ったら脱水をして、糸を水で洗います 2回程水を取り替えて白濁の汚れを流し、脱水をします 媒染からアンモニア処理の後、糸を乾燥させることはせず、ただちに染色に入ります

酢酸クロムも、同様に使用します ただ、酢酸クロムの方が溶解が良く、温湯で溶けます

銅媒染

酢酸銅

酢酸銅(Cu(CH3COO)2)を使用しています 劇薬のため、購入の際に署名捺印が必要です また、管理、取り扱いは厳重に注意します 酢酸銅は、鮮明な青い粉末です この青色は、天然染料の色を左右します 適量に使用しても、染料の色が青みがかります 天然染料の濃度が小さく酢酸銅の濃度が大きいと、この青みが糸に残り、染料独特の色が出せないことがあります 双方の濃度の兼ね合いが大切になります

銅媒染は、他の媒染剤に比べて金属塩の成分が強いため、糸種を問わず後媒染のみの媒染です 金属塩が強い媒染剤を先媒染すると、糸を傷めることと、色の変色を引き起こします

酢酸銅…濃色で3%まで、淡色で0.3%

例:絹糸100gに酢酸銅1%を後媒染をする(矢車の染浴に染めた糸の使用例)
      染浴は、糸の重さの20倍〜30倍

矢車の煎じ液を糸の重さの20倍の水または温湯で希釈した染浴で絹糸100gを染め、30分煮沸後火を止めて40℃程になるまで放冷します 放冷中に、別タンクに2Lの水を用意します 酢酸銅1gをホーローのボウルに入れて、温湯で溶きます 酢酸銅は溶解が悪いので、ゆっくりと完全に溶解させます 溶いた酢酸銅を2Lの水に入れ、染色棒で撹拌します 矢車の染浴で染まった糸をかたく絞り、よくさばいた後、ゴム手袋を着用して、媒染液に入れます 手早く糸を繰り、タンクを中火にかけます 糸を繰りながら昇温させて、60℃〜70℃になったら繰りをやめて糸を媒染液に浸します そのまま90℃前後まで昇温し、その状態で30分煮沸し、その後放冷に入ります 媒染液が40℃前後まで下がったら、糸を引き上げ、1回軽く水洗いをした後、脱水をして、それから水洗いと脱水を充分に繰り返します 水洗いは、色落ちが止まることと酢酸銅特有の臭みが取れたら終わります 水洗いだけで臭みが取れない時は、糸を干したまま数日間綛糸に充分風を通すと取ることができます

例とした矢車は、カバノキ科の実です 矢車の10%は中色から淡色の間くらいの濃度です 一方の酢酸銅の1%はほぼ中色の濃度になります 銅媒染に適量の決め方は、天然染料の濃度を把握することが大切です

鉄媒染

木酢酸鉄、硫酸第一鉄(Fe2(SO4)3)を使用しています 木酢酸鉄は液体の媒染剤、硫酸第一鉄は淡青色の結晶です 主に木酢酸鉄を使用することが多いのですが、淡色を染める時は結晶状態の方が濃度の調整がしやすいので使い分けています

木酢酸鉄
硫酸第一鉄

鉄媒染は、糸種、天然染料の種類、濃度の違いはありますが、おおむね黒からグレーの色合いになります 鉄媒染の媒染剤の濃度を調整することで、赤みのあるグレーや黄色みのあるグレーなど、その天然染料の独特の味を出す楽しみがあります

鉄の媒染剤は、長い間使用しなかったり管理を怠ると錆びてきます 硫酸第一鉄は茶色に変色した時、木酢酸鉄液は黒い濁りの固まりができてしまった時、媒染剤として使用できません 鉄媒染を頻繁に行わないようであれば、購入の際容器の小さいものを選びます また、袋で販売しているものよりも密閉性の高いボトルの方が保存ができます 収納管理は空気や日光に当たらないところで暗所保管をします 木酢酸鉄は液体媒染剤ですが、糸の重さの%で濃度を計算します

鉄媒染は、強い金属塩のため後媒染のみの使用です 鉄は熱すると腐食して糸に錆が出るので、他の媒染剤とは違う方法を行います

木酢酸鉄…濃色20%程度、淡色2〜1%程度

例:絹糸100gに木酢酸鉄8%を後媒染をする(楊梅皮(ももかわ)の染浴に染めた糸の使用例)

楊梅皮の煎じ液を糸の重さの20倍の水または温湯に希釈した染浴で絹糸100gを染め、30分煮沸後、放冷します 35℃以下に下がったら、糸を引き上げ、ゴム手袋で固く絞ります この時、絞り液は捨てずにタンクに戻します もうひとつタンクを用意し、糸を引き上げた楊梅皮の染浴を、おおよそふたつに分けます 二分した片方の楊梅皮の染浴に木酢酸鉄を入れ、染色棒で撹拌します 見る間に染浴が黒色に変化します その中に固く絞ってよくさばいた糸を入れ、よく揉み込んで、そのまま15分程浸けます 15分経ったら糸を引き上げ、固く絞ります その糸を、もう一方の楊梅皮の染浴に入れます こちらの染浴も糸に付着した鉄のために黒く変わります よく揉み込み、5分程浸けます その後糸を引き上げ、水洗いをします 糸に鉄分が残っていると錆の原因になりますから、水洗いは徹底して行います 水洗いと脱水を繰り返すと色落ちが早くおさまります 色落ちが終わったら脱水をして干します

この方法は、糸に付着した鉄分を染浴に戻すことで、鉄を完全に固着発色させるとともに、鉄を残さず糸の錆を防ぐために行います 媒染剤を温湯ではなく染浴に入れることも、同様の理由です 染色→媒染→染浴漬け込みの手順は、鉄媒染に欠かせない工程です

木酢酸鉄の濃度の8%は中色かやや淡色の濃度になります 鉄媒染は、媒染剤の濃度が薄ければ固着する色は薄くなりますが、先に染めた天然染料の色味が強くなります また、媒染剤の濃度が濃い程、黒色に近くなります

硫酸第一鉄…濃色2%まで、淡色0.3%程度

例:絹糸100gに硫酸第一鉄0.3%を後媒染をする(楊梅皮の染浴に染めた糸を使用例)

楊梅皮の煎じ液を糸の重さの20倍の水または温湯に希釈した染浴で絹糸100gを染め、30分煮沸後、放冷します 35℃以下に下がったら糸を引き上げ、ゴム手袋で固く絞ります 絞り液も捨てないでタンクに戻します もうひとつのタンクを用意して、楊梅皮の染浴をおおよそふたつに分けます 硫酸第一鉄0.3gをホーローのボウルに入れ、少量の水で溶解します 硫酸第一鉄は必ず水で溶きます 完全に溶けたら、一方の染浴に入れて染色棒で撹拌します 楊梅皮の染浴の色が変わったことを確認して、よくさばいた糸を媒染液に入れます 糸をよく揉み込んで浸し、そのまま15分漬けます 15分経ったら糸を引き上げ、固く絞ります その糸をもう一方の楊梅皮の染浴に入れ、同じように揉み込んで5分程浸けます その後、糸を引き上げ、水洗いと脱水を繰り返して、色落ちがおさまったら最後に脱水をして干します 硫酸第一鉄の0.3%は淡色で、残液に入れても見る間に色が変わるほどではないですが、鉄分は淡色なりに固着発色します 硫酸第一鉄を使用すると、媒染剤の青みのせいか、やや青みがかったグレー、または黒色になりやすいようです

楊梅皮(ももかわ)

楊梅皮

楊梅皮は、ヤマモモ科の常緑高木の樹皮です 樹皮を乾燥させたものを細かく砕き、煎じて使用します タンニンを多く含む染まりつきの良い天然染料です 大きい樹皮は砕いて1cm〜2cmくらいの断片にしますが、現在はチップ状の樹皮が販売されています

楊梅皮は、1番煎じから3番煎じまで煮出し、その煎じ液をまとめて使用します

濃度と使用方法
濃色…50% 淡色…5%

例:絹糸100gに対し、30%の楊梅皮の染浴を作る *チップ状の樹皮を使用

30gの楊梅皮を量り、ホーローのビーカーに入れ、楊梅皮の重さの7倍の水を注ぎます ここでは、30g × 7 = 210cc になりますから、約200ccを注ぎます 糸量が多かったり濃度が濃く楊梅皮の量が多くなる時は、ビーカーではなくボウルを使用します


楊梅皮

ビーカーを中火にかけ、沸騰後30分煮沸します 200cc程度ですと、水分の蒸発の方が早い場合が多いので、干上がらない程度に水を継ぎ足します この際、当初の200ccより多くならないようにします


楊梅皮

濾し布をかぶせ、ボウルの上に置きます 30分煮出した楊梅皮の液を濾し布で濾し、煎じ液をボウルに落とします これが1番煎じ液になります

濾し布に楊梅皮の澱(おり)と一緒に楊梅皮のチップも落ちますが、チップのみビーカーに戻します そこに楊梅皮の5倍の水 30g × 5 = 150ccを注ぎます 再び中火にかけ、蒸発に注意しながら沸騰後30分煮沸します 30分経ったら、先程の1番煎じ液に2度目の煎じ液を濾し布で濾して一緒にします これが2番煎じ液になります さらに、同じように濾し布に落ちた楊梅皮をビーカーに戻し、楊梅皮の5倍の水を注ぎ、中火にかけて、30分煮沸後に1番煎じ液、2番煎じ液と同じボウルに濾します こうして、3番煎じ液まで煎じます 1番煎じのみ楊梅皮の7倍の液量なのは、乾燥した楊梅皮に吸収する分を足しているためです 2番、3番の楊梅皮は、1度目の煮出しで湿っているので、5倍の液量になります


楊梅皮

1番、2番、3番の煎じ液を、約8時間程度動かさずに放置します 3度濾し布で濾しましたが、煎じ液にも濁りの元になる樹皮の澱みが含まれているために、動かさずに濁りを沈ませます ビーカーの上に濾し布を置いて、一晩寝かせた煎じ液をもう一度濾します この時、ボウルを静かに傾け、底に沈殿している樹皮の濁りは入れないように注意します

濾し布で濾された楊梅皮の煎じ液は、澱みが取れて澄んだ茶色になります


楊梅皮

この煎じ液に、糸の20倍〜30倍の35℃前後の温湯を注いだものが楊梅皮の染浴になります

#楊梅皮の樹皮は、1度使用したものでも乾燥させてから再度煎じて使用することができます また、タンニンを多く含むために腐食しにくく、糸染を終えた染浴も何度か染めることができます その時は、次第に色が薄くなるので、それに合わせて媒染剤の濃度も薄くしていきます

楊梅皮は、すべての媒染剤に発色良く適応します

矢車(やしゃ)

矢車(やしゃ)

矢車ぶしともいいます カバノキ科ハンノキ属の落葉高木の、秋に黒く熟す実が矢車という染料になります その年に採取した実より、前年の方が色の出が良いともいわれます タンニンを含みます

濃度と使用方法
濃色…30% 淡色…3%

例:絹糸100gに対し、10%の矢車の染浴を作る


矢車(やしゃ)

10gの矢車を量り、ボウルに入れ、ひたひた程度の水を注ぎます


矢車(やしゃ)

中火にかけ、沸騰後30分煮沸します 矢車が少量だと水分の沸騰の方が早いので、干上がらない程度に水を継ぎ足します 30分後、濾し布をかぶせたザルをタンクの上にのせて、そこに煮出した矢車を濾します 矢車はほとんど実が壊れることはありません

煎じ液に、糸の20倍〜30倍の35℃程度の温湯を加えて糸染をします 染浴が空気に触れて堅牢度や色が変わることを「酸化」といいます 実を煎じる矢車の染浴は酸化が早いために、煎じ液から染浴を作った後、すぐに糸染に入ります また、同じ理由で1度染めた染浴の残液は使用しません

煎じた後の矢車の実は、乾燥させて再利用できます 煎じ液が次第に薄くなるので、新しい実を順次足していくか、媒染剤の濃度を薄くしていきます

矢車は、アルミ媒染での発色があまり良くありません 銅媒染、鉄媒染が主な媒染になります

刈安(かりやす)

刈安(かりやす)

近江刈安とも呼ばれるイネ科の多年草です ススキに似ていて、穂の出る頃に刈り取って染料とします ススキのように長い穂で、茎から葉まですべてを使用します 長い穂のままであれば1cmくらいに短く切って煎じます 販売している刈安は既に切ってあるものがほとんどです

濃度と使用方法
濃色…100% 淡色…30%

例:絹糸100gに対し、100%の刈安の染浴を作る


刈安(かりやす)

100gの刈安を量り、タンクに入れます 刈安のような草の染材は樹皮に比べ発色が弱いため、最高の濃度は糸量と同じ割合になります 100gの刈安は相当量ですから、今回はタンクで煎じます 少量であればボウルで充分です 刈安がかぶるくらいの水を注ぎ、中火にかけます 刈安が軽いために浮き上がりますが、そのまま煮出し、沸騰後30分煮沸します


刈安(かりやす)

30分後、別のタンクにザルを置き、煮出した刈安を空けます 煎じ液がタンクに落ち、刈安のみザルに残ります

煎じ液に、糸の20倍〜30倍の35℃程度の温湯を加えて糸染に入ります 刈安は酸化が早いために、染浴を作った後ただちに糸染に入ります また、同じ理由で染めた後の染浴の残液は使用しません 煎じた後の刈安もほどんど色は出ないので、使用しません
今回の例は100%の高濃度としましたが、20〜30%の刈安を数回重ねて染めると濃色で深みのある色になります

刈安は、すべての媒染剤に適応します

玉ねぎの皮

玉ねぎの皮

野菜の玉ねぎの皮を染料にします 1年を通して流通している野菜なので、少しずつ皮のみ蓄えて保存しています 年中蓄えていると増えますが、古くなった玉ねぎの皮でも充分発色します 保存する場合は、完全に乾燥させて袋詰めにします 湿っているとカビが生えます

濃度と使用方法
濃色…50% 淡色…5%

例:絹糸100gを、30%の玉ねぎの皮で染める

30gの玉ねぎの皮を量ります 糸量の20倍〜30倍の温湯をタンクに用意し、玉ねぎの皮を入れます 先媒染、後媒染とも、玉ねぎを入れた直後にタンクに糸を入れます 玉ねぎの皮と糸を入れたタンクを火にかけ、玉ねぎの皮を煮出しながら同時に染めていきます 玉ねぎの皮がかさばって染色棒で糸の繰りができにくいようであれば、ゴム手袋をしてタンクの上下を引っ返すように繰ります 糸に玉ねぎが付着しますが、それによりムラになることはありません


玉ねぎの皮

沸騰後30分煮沸をして、その後放冷します 玉ねぎの皮を煎じながら染めるので、徐々に発色していきます 放冷を充分にすることで、色を出すことができます 糸染後の染浴の再利用はできますが、1回目の吸収が良いために、ごく淡色になります 玉ねぎの皮は1度のみの使用です

玉ねぎの皮は発色が良く、すべての媒染剤に適応します

コチニール

コチニール

動物性の天然染料で、サボテンに寄生するカイガラムシの一種です メキシコ、ペルー、南スペインで養殖しています 産卵前の雌を採取し乾燥させたもので、2mmほどの粒状です

動物性天然染料の中では堅牢度が高く染めやすい染材ですが、価格が高いことが難点です

コチニールは紫がかった赤系の色が特徴で、助剤や媒染剤の量によって色味を変えることができます


コチニール
濃度と使用方法
濃色…15% 淡色…1%

例;絹糸100gに対し、10%のコチニールの染浴を作る

10gのコチニールを量り、乳鉢に入れて粉状になるまですります


コチニール

ホーローのビーカーにすったコチニールを入れ、コチニールの重さの40倍程度の水10g × 40 = 400ccを注ぎ、酢酸を1、2滴たらして弱火にかけます このまま温度を上げ、沸騰したら火を止めます コチニールは沸騰後の煮沸はしません

煎じたコチニールを含めて糸量の20倍程度の温湯を量り、タンクに入れます これがコチニールの染浴になります

コチニールは、アルミ媒染で紫みのある赤に染まります 赤みを強く出したい時は、酢酸を加えない染浴で染めます また、先媒染の段階でカリ明礬の濃度を濃くし、染浴に酢酸を5〜8%程度加えると、赤みがかった紫になります この場合酢酸は液体助剤ですが、糸に対しての%で必要量を決めます 銅媒染の場合、青みの強い紫に、クロム媒染では、くっきりした紫になります

コチニールは、染めた後の染浴が透明になるまで使用できます 10%の濃度だと中色よりやや濃く染まりますが、その後の残液にもコチニールの粉末状の粒が残り、2度目の染浴も薄いながらもはっきりと色が出ます 次第に透明に近いピンクの染浴になり、この段階ではコチニールの粒はほとんど残っていませんが、この最後のコチニールから染まるピンクは淡い桜色になります 残液を順次使用する時、媒染剤の濃度も徐々に薄くしていきます ただ、染浴自体は日持ちがよくないので、早めに使い切ります 糸染の後、糸に付着したコチニールの粉が洗ったり脱水の度に落ちます 乾いた後、糸巻きの段階になっても粉末は落ちます

コチニールは、すべての媒染剤に適応します 媒染の項でも記しましたが、コチニールのアルミ媒染は、先媒染でカリ明礬を使用します この際、アンモニア処理はしません 銅媒染、鉄媒染は後媒染になりますが、クロム媒染も先媒染の方が色味がはっきりと出て、残った染浴も使用しやすいです クロム媒染の場合は、アンモニア処理を行います

ログウッド

メキシコや南米が原産のマメ科の植物アカミノキの樹皮です 古代から使用されている天然染料で、主に黒系の色を出します


ログウッド
濃度と使用方法
濃色…30%程度 淡色…5%程度

例:絹糸100gに対し、30%のログウッドの染浴を作る

30gのログウッドチップを量り、ボウルに入れます かぶる程度の水を注ぎ、弱火にかけます 沸騰後30分煎じますが、水の量が少量の時は、水分が干上がらないように水を継ぎ足します 煮沸30分後、タンクに濾し布を置いて濾します このログウッドの煎じ液に、糸量の20倍〜30倍の35℃程度の温湯と合わせたものが染浴となります

チップ状のログウッドは、1度限りの使用です 染めた後の残りの染浴は、使用できます 30%は濃色ですが、その残液でもう1度染めた色は淡色5%程度の薄さになります

ログウッドは、アルミ媒染は発色が悪く、銅媒染、鉄媒染に向いています ログウッドの鉄媒染は、他の天然染料の鉄媒染よりも青みがかった色味の黒になります

ヘマチン(ログウッドエキス)

天然染料にはエキスがあります エキスとは、煎じた天然染料の液を粉末や固形、液体に抽出して使用しやすくしたものです エキスの利点は、煎じる手間がないこと、合成染料のように毎回同じ色味を出しやすいことです


ヘマチン(ログウッドエキス)

へマチンは、ログウッドのエキスです 形状は粉末、固形があります 黒系の色を出すための染料です 色素を凝縮してあるので、染材としてのログウッドと濃度が違います

濃度と使用方法
濃色…8% 淡色…1%

例:絹糸100gに対し、5%のヘマチンの染浴を作る


ヘマチン(ログウッドエキス)

ここでは、粉末状のヘマチンを使います
5gのヘマチンを量り、ホーローのボウルに入れ、熱めの湯でヘマチンを溶きます 溶解は良い方で、ダマになることはありません タンクに糸量の20倍〜30倍の35℃程度の温湯を用意し、そこに溶いたヘマチンを加えます 見た目は赤ワインのような色です これがヘマチンの染浴です

ヘマチンは、ログウッドと同様、銅媒染、鉄媒染に向いています ログウッドを煎じて染める色とほぼ同じです 天然染料のエキスは糸への吸収が良く、残液に色味があまり残りません

ガンビアカテキュー(エキス)

ガンビアカテキュー(エキス)

アカネ科カギカズラ属のガンビールノキの枝葉、実を煎じて固形に固めたエキスです 茶色の石のような塊です 以前はあせんとも呼びましたが、漢方薬の阿仙(あせん)はカテキューを精製したものをいいます 茶系の色を出します

濃度と使用方法
濃色…8% 淡色…2%

例:絹糸100gに対し、5%のガンビアカテキューの染浴を作る

5gのガンビアカテキューを量ります 塊状のため適量のガンビアカテキューが量りにくい時は、金づちで砕きます 使用量のガンビアカテキューを細かく砕き、ボウルに入れます 適量の水を注ぎ、弱火にかけて塊を溶かします ガンビアカテキューは、熱して溶けると粘り気が出てきます 溶解して沸騰したら、火を止めてただちに濾し布で濾します 冷えると粘ったまま固まります 濾し布には粘りのある樹液のようなカスが残ります 濾した液をタンクに入れ、糸量の20倍〜30倍の35℃程度の温湯を注ぎます これがガンビアカテキューエキスの染浴になります

濾しに使用した道具は、粘り気が取りにくくなることがあるので早めに洗い流します

ガンビアカテキューは、酢酸クロムによるクロム媒染、銅媒染、鉄媒染に発色します 媒染剤により色相は違いますが、きれいな茶色になります

茜(あかね)

アカネ科のつる性多年生植物です 古くから日本で使用される植物染料ですが、日本原産の茜は個人栽培か自生の採取のみで、一般に流通していません 西洋茜とインド茜の2種類が販売されています そのうち、インド茜は日本茜とほぼ同じもので、西洋茜は同じアカネ科ですが東洋産の茜とは別種です 西洋茜はインド茜に比べて黄色みが強い特徴があります


粉末状のインド茜

販売されている茜は、粗粉状、チップ状、根の状態のものの3種類あります いづれも朱色に近い色をしています どれも色の発色は同じ程度です

濃度と使用方法
濃色…50%程度 淡色…10%程度

例:絹糸100gに対し、30%のインド茜の染浴を作る *根の状態の茜を使用

30gの茜を量り、剪定バサミなどで1cm程度に細かく切ります ボウルに切った茜と、かぶる程度の水を入れて弱火にかけます 沸騰後30分煮沸し、その後濾し布で濾します この濾した煎じ液が1番煎じ液になります ボウルの茜に再びかぶる程度の水を入れて、1番煎じと同様の作業をします 濾し布で濾した2番煎じ液を、1番煎じ液と一緒にします 三たび、同じ作業で煎じて3番煎じ液を作ります 濾した煎じ液は1番、2番の煎じ液と一緒にします 一緒にした煎じ液と糸の20倍〜30倍の35℃程度の温湯を合わせたものが茜の染浴になります インド茜、西洋茜とも同じ使用方法です

茜は、黄色や茶色を主な色味とする植物染料よりも1回の染色濃度が薄いため、色を強くしたい場合は媒染→染色を繰り返します また、他の植物染料にもいえることですが、茜は特に絹糸よりもウール糸に濃く染まります 絹糸を濃く染めたい時は、媒染→染色を幾度か繰り返します

粉末状の茜の染材は1度限りの使用です チップ状、根を細かくしたものは乾燥させて再利用できます 再利用の煎じは、1度めよりは薄くなります 染めた後の染浴の残液も使用できます 濃度は薄くなるので、媒染剤の濃度も下げて利用します この染浴の残液で重ね染めをして糸の色を濃くすることもできます やはり、媒染剤との兼ね合いを考えて再利用します

茜は、すべての媒染剤に適応します 「茜色」と呼ばれる色は、アルミ媒染で染めることができます

マリーゴールド

乾燥マリーゴールドの花

キク科コウオウソウ属の草花で、花を乾燥させて染料にします なお、生花でも染まります 春蒔きの1年草ですが、生育が早く、夏蒔きで秋に咲かせることもできます 染材の販売はほとんどありません ここでは、頂いた乾燥マリーゴールドの花を元に記します

濃度と使用方法
濃色…30%程度 淡色…5%以下

例:絹糸100gに対し、30%のマリーゴールドの染浴を作る

30gのマリーゴールドを量り、ボウルに入れます 花にガクがついたままでも差し支えありません マリーゴールドがひたひたに浸かる程度の水を入れ、弱火にかけます 沸騰後30分煮沸します この時水分が少なくなりそうならば、途中差し水をして調整します 30分経ったら、染浴用のタンクにザルを固定して煮出したマリーゴールドの煎じ液を濾します 濾した煎じ液は1番煎じ液になります ザルに落ちたマリーゴールドをボウルに戻して、再びひたひた程度の水を加えて煎じます 1番煎じと同様の作業を行い、1番煎じ液を入れたタンクに2番煎じ液を一緒にします ザルに落ちたマリーゴールドをボウルに戻し、三たび同じ作業を繰り返します 30分煮沸後、タンクに濾して、1番煎じ、2番煎じの液と一緒にします 3番煎じまで一緒にした煎じ液と糸の重さの20倍〜30倍の35℃程度の温湯を合わせて、マリーゴールドの染浴ができます 染浴の酸化の恐れがあるので、染浴を作りただちに染色に入ります

30%の濃度はかなり濃色になります 花の染材としては色の出が良く、澄んだ美しい色が得られます また、堅牢度も樹皮の植物染料程度で比較的安定した染料ですが、退色が早く色味のくすみがちになるようです

3回煎じるため、マリーゴールドの再利用はしません また、花の染材は酸化が早いとされるので、染浴の残液も使用しません

マリーゴールドは、すべての媒染剤に適応します
キク科アレルギーを持つ方は、必ずゴム手袋をするか、使用を控えてください

槐(えんじゅ)

槐(えんじゅ)

中国原産のマメ科エンジュ属の落葉高木で、米粒ほどの小さい花の蕾を染料にします 街路樹としてよく見かける樹木です 植物染料は多くが漢方薬の種類ですが、槐は特に漢方薬の香りが強くします

濃度と使用方法
濃色…50%程度 淡色…10%程度

例:絹糸100gに対し、30%の槐の染浴を作る

30gの槐を量り、ボウルに入れてかぶる程度の水を注ぎます 弱火にかけ、沸騰させた後そのまま30分煮沸します 30分後、染浴用のタンクにザルを固定して、煎じた液を濾します これが1番煎じ液になります ザルに落ちた槐の粒をボウルに戻して1回目と同じ程度の水を注ぎ、弱火にかけます 1回目ほど早く色は出ませんが、沸騰させると次第に色が出始めます 1番煎じと同様の作業を行い。1番煎じ液を入れたタンクに2番煎じ液をザルで濾します もう1度ザルに落ちた槐の粒をボウルに戻して、同様の作業をします 沸騰後30分煮沸して、1番煎じ、2番煎じの液にザルで3番煎じ液を濾して煎じ液をまとめます 煎じ液と糸の重さの20倍〜30倍の35℃程度の温湯を合わせたものが、槐の染浴になります 花の蕾を利用する染色なので酸化が早い恐れがありますから、染浴を作ったらただちに染色に入ります

槐の30%は中色程度の色味です 1回のみの煎じ液でも充分染色はできますが、3番煎じまで行った方が同じ%でも深い色が出ます

槐はすべての媒染剤に適応しますが、アルミ媒染の場合、やや退色が早いようです

丹殻(タンガラ)

丹殻(タンガラ)

熱帯、亜熱帯の河口原産のヒルギ科ヒルギ属の高木植物の樹皮で、マングローブ林の樹皮を染料にします タンニンを多く含むため、酸化しにくい植物染料です 販売されている染料は、樹皮の形状のものとチップ状のものがあります 樹皮は細かく砕いて煎じます 
丹殻の名前は、丹=赤味の強い茶色に染まることから呼ばれています

濃度と使用方法
濃色…50%〜60%程度  淡色…20〜30%程度

例:絹糸100gに対し。50%のタンガラの染浴を作る

50gのタンガラを量ります チップ状ならそのままで、樹皮なら細かく砕きます ボウルに入れて多めの水を注ぎます 弱火にかけて沸騰させた後、そのまま30分煮沸します 30分後、別のボウルに濾し布を固定し、煎じた液を濾します これが1番煎じ液になります タンガラに再び水を注ぎ、同じように30分煮沸後、1番煎じのボウルに濾し布で濾して煎じ液を一緒にします 三たびボウルのタンガラに水を注ぎ、30分煮沸して3番煎じ液まで1つのボウルにまとめます そのままの状態で一晩放置し、樹皮の澱(おり)を沈ませます 翌日タンガラの煎じ液を、タンクに濾し布を固定して静かに濾します ボウルの底に樹皮の澱が沈んでますが、それは染浴にいれないように注意します これが染浴の原液になり、タンクに糸の20〜30倍の温湯を注ぎます
タンガラは、かなりの量の樹皮の澱が出ます 必ず一晩寝かせるようにします
染浴の残液の再利用はできますが、初回の染まり付きが良いので、残液で染める時は媒染の割合に注意します
タンガラは、銅媒染、鉄媒染に適しています 銅媒染で赤茶色、鉄媒染でこげ茶色に染まります
タンガラの染材の再利用は、樹皮を砕いたものならば乾燥させて使用できますが、煎じ液の色が薄くなります チップ状のタンガラは泥状態になるので再利用はできません

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